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オセアニア旅日記

T 旅立ち〜はじめてのウーフ


2/11にニュージーランド(以下NZ)オークランド入りした私たちを一人の女性が迎えてくれました。明治大学で英語の講師をしていて今はオークランド大学に出向中の森本陽子さんという方で、空港で会うのが初対面です。私が去年まで暮らしていた八ヶ岳に彼女の自宅があり、共通の友人がいたご縁で紹介してもらいました。彼女には今回本当にお世話になっています。やはり現地に詳しくしかも車を持っている知人がいるのは大きい!オークランドから最初の訪問先「アーストーク(earthtalk)」まで早速送ってもらいました。

アーストークはタニア&シャーメインというレズビアンカップルが暮らすファームです。雑誌でも紹介されているのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、とにかく素晴らしい!の一言。まずロケーションがいい。なだらかな斜面に建つ母屋とバンガロー2軒。爽やかな風が通る居間からは海をのぞむことができます。プライベートビーチまで歩いて数分です。母屋の周りのガーデンは奇麗に整備され、野菜やハーブ、フルーツを食事の直前に採ることができます。PCのテキストまんまに展開されたゾーニング。

そして私たちが何よりも最初に驚いたのが細やかな配慮です。二週間暮らすバナナバンガローというところに案内されてビックリ!もともと物置小屋だったとは思えないとっても小奇麗に改築されたバンガローはベッドメイキングは勿論、奇麗な花を飾ったテーブルセッティング、キッチンにはフルーツの山、冷蔵庫には一通りの食材と調味料が揃い、食器も完璧です。一言で表せば、私たちが身体一つでここにきただけでそのまま新婚生活が始まったという感じでしょうか。とにかく一つ一つに心遣いを感じます。とても心地よく、幸せな気分になり、一気に気持ちが穏やかになりました。送ってくれた陽子さんも感激モノで、結局彼女は週末に自分のために泊りに来ました。

なぜこんなに心地よいのか?幾日か過ごしているうちに見えてきました。それは彼女たち二人の人間関係がとても良い状態あるからじゃないか?例えばウーフを例に挙げてみると、私がウーフについて旅に出る前に聞かされていたのは、「一日4〜5時間の労働をする代わりに宿泊と食事が提供されるシステム」というものでした。でも実際に体験して思うのは、この認識だけだと不十分です。つまり、例えば労働時間が長すぎたり、宿泊施設や食事が貧しいものだったら、ウーファーはバランスを失ってストレスがたまるし、結局ホストの方にもストレスがたまります。
ところが、ここに来て思うのは、まず、ウーファーがホストから多くのものを得ます。それは宿泊や食事は勿論、それ以上に快適な空間と雰囲気と時間と感覚といったものです。それは言わばホストから与えられる「愛」といったところでしょうか。そしてその愛は何よりもホストである人々の人間関係に基づいているように思います。夫婦が、家族が、パートナーがまずは自分達の暮らしを快適にすることについて理解し配慮し合うことでとてもよい雰囲気が生まれ、その結果、ウーファーはサービスを受けることができるのです。そんなウーファーはその愛に応えようとして喜んで働きます。その労働はちっとも辛くはありません。むしろ働いた上にお金を払いたくなるくらいです。
このように感じたままをタニアに伝えたところ、「もう一つあるわよ。それはね、その結果私たちがあなたたちからより大きなものを得られるということよ。」さすがですね。この歳になってようやくコミュニケーションやインターフェースの意味にはじめて気づかされました。実際のところ、私たちは短い労働時間の割にはよく働いたと思います。また3回ほど二人で日本食を作ったところ、本当に心から喜んでくれました。

NZではマオリ族という原住民とその後に移ってきた人々との共存生活がはかられていますが、ある時にりえが「マオリの子供たちに会いたい。」と言ったところ、あれよあれよという間に話が進み、マオリの学校で二人で授業をすることになりました。というのも、シャーメインはNZでも高名な教育者で特に今はマオリの人々の地位向上に努力しているので、「この機会に日本人にも接してもらおう。」ということになった訳です。
当日、15名の子供たちが歓迎の歌をマオリ語で唄ってくれ、私たちも日本の歌「花」を唄いました。授業では日本語には一語ずつ意味があることを伝え、一人一人の子供たちに漢字の名前をつけてあげました。(マオリ語の発音は日本語ととても似ているのです。)その後は一緒に折り紙で篭を作り、最後に、途中まで私たちが作っておいた鶴を渡して、一緒に最後まで仕上げました。みんなとても喜び、楽しそうでした。このような思わぬ出来事も交えながらあっという間に時は流れ、別れの時がきました。
PCの知識や体験が増えたことはもちろん、何よりもrelationshipが大切だということを学びました。」と伝えたところ、「その通り。知識は本から学べます。経験は日本でもできる。あなたたちは一番大切なことをつかんだようですね。」と抱きしめてくれました。このほかにも本当に細やかなところまで配慮してくれ、感謝感激です。「こうありたいものだね。」「何かもうこれで帰ってもいいくらい。」「早く日本に帰って自分達のことをはじめたいね。」と夢見心地になった二人でありました。この先私たちがやろうとする暮らしを形にする上で、とてもありがたいモデルに出会うことができました。
別れがたき地と二人からは2/25に離れ、次なる旅に向かいました。